スキーの競技プライヤーとして3年の経験を活かして、チューンナッパーとして20年以上の経験をもって、スキーやスノーボードの板のチューンナップをおこなっています。
2018年ー2019年シーズンは第26回JSBA全日本スノーボードテクニカル選手権優勝ライダー駿河涼一選手をサポートしています。
わすが0.06秒の差で優勝を勝ち取ってくれました!
非常に嬉しいことです。
こちらが実際に表彰台のトップに輝いたお写真です。
板を早く滑るために競技者と一緒にディスカッションをしながら彼に合う板のチューンナップや仕上げをおこなったことで、テク選の優勝のお力になれたのかと考えています。
板を早く滑るようにすることで、スキーやスノーボードの上達が変わってきます。チューンナッパーとして、みなさんの技術の上達をするように、より早く板が滑る状態をつくるお手伝いをしています。
今回は、どうやってより滑る板をチューンナップしているのか?という点についてお伝えをさせて頂きます。
同じチューンナップでも滑る?滑らないのがあるのはなぜ?
スキーやスノーボードの板をチューンナップに出しますが、滑るチューンナップをしてくださる店舗もあれば、そうでもないチューンナップをしている店舗があるのは事実です。
チューンナップは、新品の板も、1シーズン滑った板も必ず行う方がいいと私は考えています。
理由は、
新品の板であれば、見た目は綺麗ですが、実は板のフラットが出ていなくて滑りづらい状態になっていたりします。ですので、プレチューンというものを行ってからワックスを入れて滑ることをお勧めします。
また、1シーズン滑った板に関してもチューンナップは必須だと考えています。中には、綺麗に使われていてほとんど板が傷ついていない方も中にはいらっしゃるかなと思います。でも、エッジは硬いアイスバーンを滑ったりすることで角が丸まっていっているんです。
毎年10回以上滑りに行っているような方は、板を毎年チューンナップに出して、板の滑走面の傷を綺麗にして、綺麗に磨いて、エッジも角をだしてツンツンの状態にすることが大事です。
そうすることで、走る板でエッジも効く状態で滑れるのでスキー・スノーボードの上達が早くなります。
上達することで、より楽しくなっていくので今よりももっとスキー・スノーボードが好きになっていくことでしょう。
話はそれてしまいましたが、なぜ『チューンナップ』に出しても滑るように仕上げてくれる店舗とそうでない店舗があるかというと、
それは作業工程を細かくできるかできないかということになります。
チューンナップは滑走面をペーパーで削って整えていきます。粗いペーパーから細かいペーパーにしていくのですがこの作業の工程を料金的に省かないといけないことがあります。
1つの工程を加えることで時間はかかってしまうのでその分、価格は上がってしまいます。
価格が安いチューンナップに出すということは、その分板を滑るようにする工程を省いているケースがあるのでご注意ください。
滑走面のチューンナップの工程について
ここからはより詳しくチューンナップの工程についてお伝えしていきたいと思います。この部分をご理解いただくことで、ご自身の板がどのように仕上げていただいてもらっているかが確認できるかなと思います。
滑走面のチューンナップの工程については以下のような流れで行います。
1、滑走面の傷をリペアして埋める
2、粗いペーパーでソールを削る
3、中目のペーパーでソールを削る
4、細かい目のペーパーでソールを削る
5、ストラクチャーを入れる
6、仕上げの艶出しのペーパーでソールを削る
というように、板の傷を綺麗にするために粗い目で削って滑走面を整えていきます。そして、より滑るようにするためにより細かな目で滑走面を削っていきます。
そして、雪の滑りをよくするためにストラクチャーを入れて、さらにストラクチャーの目を滑るようにするために仕上げの艶出しのペーパーで研磨していきます。
同じ工程をどの店舗さんも行えば同じように滑る板に仕上げることができると思います。
ただ、板が滑る、滑らないの差は工程をしっかりと全ておこなうのか工程を間引いて少ない工程にするかの差になります。
しかし、全ての工程をおこなうには時間がかかるため料金もかかってきてしまいます。
チューンナップの料金が安い場合は大抵、何かの工程を間引いて行っていることが多いので、滑る板に仕上げたいのでしたらある程度の価格帯のチューンナップに出すことをお勧めします。
また、量販店さんに依頼する場合は、量販店さんが他のチューンナップショップに依頼をするケースがほとんどだと思いますのでそういった場合は、割高になるケースが多いのであまりおすすめはしていません。
ご自身が直接、チューンナップショップに依頼した方が同じ作業(チューンナップ)をしてもらう場合は安い金額で行ってもらうことができます。
また、ご自身が「どういった滑りをするのか?」、フリーランがメインなのか、パークやグランドトリックが多いのか、パウダーを滑るのか、競技に出て1分1秒を競っているのか、を伝えたり、どこのスキー場を滑るか?ということも直接お伝えすることであなたにあった板にチューンナップをしあげてもらいやすいというメリットもあります。
エッジのチューンナップの工程について
エッジのチューンナップも工程が多数あり、どこまでその工程を行うかによってエッジのキレ、鋭さが変わってきます。
1、マシーンを使って、サイドエッジを研磨します。
2、手仕上げでディスクでサイドエッジを研磨します。
3、ダイアモンドを使って手仕上げてでエッジを磨き上げます。
店舗によっては、マシーンでサイドエッジを研磨して終わりというところもあります。その場合、エッジの表面が荒かったり、細かな段差がある分、錆びやすかったり、キレが悪かったりします。
こちらに関しても工程を多く行えば、もちろん金額も高くなりますがその分、エッジが切れる状態で、長く良い状態をキープできるようになります。
結論、どのくらい細かな工程もしっかり行うかでより早く板が走る状態に仕上げることができます。ただ、工程が多くなる分、どうしても料金は高くなってしまいます。
・レースにでコンマ何秒の世界を争うのか?
・板のパフォーマンスがある程度出る状態にしたいのか?
・滑走面の傷を整えてもらえればいいのか?
という、目的に応じてチューンナップしてもらうべきレベルが変わります。この点を考慮して、チューンナップ屋さんに相談をすると、あなたにあったチューンナップがどれなのかということを教えてくれると思います。
【注意してください】チューンナップで板の寿命が変わってしまう
あなたに知っておいて欲しいのは、チューンナップの行い方によっては寿命を短くしてしまうケースが多々あるということです。
私たちは、板の状態とお客さまのすべりと向き合ってどういったチューンナップをすると良いのかを考えて、作業を行います。
ただ、量販店や大量にチューンナップを行わないといけない場合は、
どういった状態の板も同じようにチューンナップすることで作業の効率をあげて、多くの板を短い間でチューンナップできるようにしています。
ということは、
傷がほとんどないスキー、スノーボードの板も粗い目のペーパーで削られてしまうということです。
つまり、板が余分に削られて薄くなってしまいます。
その分、チューンナップに出せる回数も減って、板の寿命も短くなってしまいます。
自分が大切にしたい板は、チューンナップを専門に行っている店舗にもっていくことをお勧めします。
チューンナップが行っていることって?
みなさんにご理解いただくといいと思うのがチューンナップは走る板にするためのベースを作っているということです。
チューンナップに出したからものすごく早く走る板ができるわけではないということです。
チューンナップで行っていることは主に、
・板の滑走面をフラットにして、滑りやすくする
・滑走面の傷をキレイ(リペア・穴埋め)にする
・エッジを研磨して、キレを出す
・ストラクチャーを入れて、雪の流れをよくする
ということです。
スキー・スノーボードを滑りやすい状態にするということです。
なぜ、チューンナップをするかというと1シーズン滑った板はエッジがアイスバーンなど固い雪面を滑ることで、エッジが丸くなっています。
また、石などを上を滑ることでエッジが焼きついてしまっています。
滑走面が何かを踏んで、傷ついています。
これらの状態では、滑走面には抵抗があり、滑りづらくなっています。
エッジは丸くなり、エッジをかけても効きが悪かったり、エッジが抜けやすくなってしまいます。
この状態では、スキー・スノーボードが滑りづらく、楽しむことや早く滑ることができません。
一度、キレイな状態に整えるということをチューンナップに出してもらうことでできます。
板の一番性能が発揮する状態にすることがチューンナップを考えてもらうといいかもしれません。
ただ、この状態からさらに板が走るようにするためにはお客様の方でホットワックスをいれてもらったりすることが必要ということです。
さらに、走る板にするためには、
・ワックスを浸透させる
・滑走面を雪に馴染むようにさせる
という2点が必要だと私たちは考えます。
チューンナップに出してからが走る板に育てていく必要があります
板をより走らせるためにはチューンナップに出してから、ホットワックスをかけてワックスを板に浸透させるということが大切です。
また、チューンナップに出した板は細かなペーパーで研磨したとしても、削った切り口は角が立っている状態です。(これはミクロやマクロの話になりますので実際に目でご覧いただくのは難しい領域にはなります。)
角がたった状態では板を滑らした際に雪が板と摩擦を起こしやすい状態になっています。
この角の部分を丸くしていく、角をなくしていくことで雪がスムーズに書き出されていく状態を作れます。
チューンナップに出した板をより早く走らせるためには、ホットワックスを何度もかけて、スクレーパーで板を削り、アイロンでワックスを浸透させ、ナイロンブラシでワックスの浸透と板を削っていくという作業を繰り返すことでより走る板にしていくことができます。
板にワックスを浸透させる方法
こちらは多くの方がご存知かと思いますが、シーズン前に20回ほどベースワックスを入れて板にベースのワックスを浸透させていきます。
ベースワックスはどういったワックスを選ぶといいか?
ベースワックスに利用するといいワックスは当店では柔らかい低い温度でも溶けるものが、板を焼き付けるリスクも抑えれて浸透しやすいので推奨しています。
・KUU WAX SPEED のYELLOW
・TOKO NF YELLOW
こちらの動画も参考にしてみて下さい。
ワックスをかける頻度について
滑走面の磨かれた面をより滑るようにする方法
私たちが行うチューンナップが走る板を作れる理由って?
私たちのチューンナップは
・プロスキープレイヤーの遠山 巧選手
・第26回JSBA全日本スノーボードテクニカル選手権優勝した駿河涼一選手
などのプロやレーサーの板のチューンナップをサポートさせていただいています。
私たちはチューンナップの仕上げについてこだわりをもって行っています。
・滑る方の滑り方を理解して板を仕上げています
・より滑る板にするためのチューンナップを行っています
その人の滑りに合わせて板をチューン、調整をしていくことが私たちの役割になります。同じ板で同じレースに出るとしても、乗り手が違えば板の仕上げ方は変わってきます。
お客様に合わせた板に仕上げていくことを大切にしています。
センタースポーツ「Powers」のチューンナップの工程などはこちらからご覧ください。
より走る板にチューンナップで行っていること
ストラクチャーの印をつけるものを薄く丸めている
ストラークチャーには多くの種類がありますが、ユーザーの反応を長年見てきて、「斜めクロス」というマークを採用しています。
中加減のインターバルでマークをつけつことで、大回りのターンや小回りのターンにも対応しやすいサイズで入れています。
ストラクチャーは板に印をつけるのですが、その印をつける際に深く印をいれてしまうと、それが板が滑る時の抵抗になってしまいます。
ですので、私たちはストラクチャーを入れる際もなるべく薄く入れれるように削ってから、ストラクチャーを入れることで、より板に抵抗が少なくストラクチャーを入れていっています。
ストラクチャーをかけたソールにさらに艶出しのペーパーをかけている
また、ストラクチャーをかけたままの状態ですと、ストラクチャー(溝)を作った部分は角が尖っている状態になり、雪を滑る上では抵抗になりやすくなります。
ですので、この角の部分を少し丸くしてなじませることで、雪の抵抗を抑えれるようにします。
ストラクチャーをかけた後に、艶出しのペーパーで磨くことで、ストラクチャーの角を丸くして、雪との摩擦を減らしてより走る板に仕上げていきます。
ベース+滑走の機能のあるワックスを利用している
チューンナップをして板を仕上げた後に、当店はベース+滑走性能のあるワックスを入れて仕上げています。
シーズンインの際に、ワックスを剥がしてもらえれば滑走性能があるワックスを入れているので滑るということです。
可能であれば、シーズンインまでにベースのワックスを何度かかけて板をより滑るようにしてもらっていくとベストですが、そういった時間が無い方でも当店のチューンナップに出していただければ、ワックスもベースで無く、滑走性のあるものを使用しますので、ベースワックスよりは滑る状態でお渡しができます。